3月とはいえ、まだ寒さを薄ら感じる3月14日(日)に、
和光市総合体育館アリーナにて「第4回JDKF.空手道競技大会」を開催しました。
国内初となる聴覚障害者向けの「音声が見える空手道大会」として、
審判員の声による合図の指示をライトの点滅でしらせるなど、
聞こえない選手が「聞こえないハンディ」を気にせず、
安心して競技に集中できるよう情報保障の行き届いた環境が作られた大会で、
今回が4回目となります。
昨年開催した第3回では初の2面コートでの実施、
初の海外の聴覚障害者選手の参加など初めてのことばかりでした。
今年はコロナ禍もあり、海外からの参加が見込まれない状況の中、
国内での参加選手も減少するだろうと思っておりましたが、
参加したいという選手の声があったため、
一人でも参加したい選手がいるのなら実施しようと開催実施に至りました。

蓋を開けてみますと、
去年とほぼ変わらない数、全員で78名(うち30名がろう者・難聴者、48名が聴者)の選手が参加し、
全空連のルールに従ってそれぞれの競技に臨み、熱気溢れた戦いとなりました。
今年はコロナ対策により開会式閉会式をなくし、また無観客試合の中、
第1部と第2部に分けて合計23のカテゴリーを実施しました。
インターネット・ケーブルTVによる中継ライブが配信されました。
無観客試合のため観戦に来れない方々がライブ中継画面を通して、
応援に参戦いただくことが可能となりました。l
また実況・解説付きの本格中継で初めて見る方にも分かりやすく、
「音声が見える空手道大会」を多くの方に観戦いただくことができました。
アーカイブでもご覧頂けるようになっております。

①審判員の合図をライトおよびLEDラインテープで知らせる
組手の競技中、審判員が「ヤメ!」と合図の声を出すのと同時に、
Aコートは赤いライトが、BコートはL E Dライトテープが点滅します。
これによってろう者も聴者もハンディなしに対等に試合に臨むことができます。
②審判員の手話による「勝負始め」
組手競技の試合開始「勝負始め」を手話で表現します。
審判員が手話を使うことで、聞こえない選手も安心して競技に臨むことができます。
③形名表示ボードおよびiPadにて形名の掲示
形の競技では、大きな声で明確に、形名を伝えなければならないのですが、
この大会では手話や文字で、自分が演武する形名を申告します。
目に見える情報があることで、ろう者も聴者も対等に情報を保障することができます。
AコートはiPadで表示、Bコートは予め印刷した形名の用紙をボードにて表示しました。
このように2通りの方法を行ったことにより、
工夫次第では色々な方法があるということをアピールできたのではないでしょうか。
また、ろう者によるろう者のための大会に、聴者も参加したことで、
お互いが共生していくきっかけにもなったでしょう。
また、知名度についても確実に広まっていく手応えを感じております。
今後、聴覚障害の空手選手の育成普及・発掘・強化につなげることができる大会に
なっていくのではないかと期待しております。
最後に、1年前の同じ3月からコロナ禍でほとんどの大会が中止され、
選手たちのモチベーションがどこまで維持できるか心配もありましたが、
本大会に参加した選手たちが久しぶりの試合に緊張したり、
久しぶりに会う仲間たちの再会を喜んだり、
勝ち進むことができた嬉しさや負けてしまった悔しさなど、
それぞれの選手がそれぞれの喜怒哀楽を見せてくれました。
表彰式でメダルをもらった子どもたちが嬉しそうに「ありがとう」と手話で応えてくれたり、
ろう者と聴者がお互いにメダルを見せあい、
言葉の壁を乗り越えた触れ合いや交流が出来たことこそ、
この大会が成功に収めることが出来たと、書中をもってご報告させていただきます。
JDKF.
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