2月の寒さを感じない晴々とした2月2日(日)、
国立オリンピック記念青少年総合センター大体育室にて、
「第3回JDKF.空手道競技大会」を開催しました。形と組手の個人競技に
幼児からシニアまで、全国各地から約90名の選手が参加し、熱戦を繰り広げました。
今回、初めてマレーシアのジョホールバルろう学校空手部の選手が参加し、
空手を通じ、国境を越えた交流が実現しました。
国内初となる聴覚障害者向けの「音声が見える空手道大会」として、形競技では、
形名の申告を、形名の書かれたボードの掲示と手話で行われ、組手競技では
主審の合図をライトの点滅で知らせるなど、聞こえない選手が
「聞こえないハンディ」を気にせず、安心して競技に集中できるよう、
情報保障が導入された大会です。
2018年2月に第1回を開催し、今回3回目の大会となります。
26のカテゴリーにそれぞれの選手がエントリーし、 全空連のルールに従ってそれぞれの競技に臨み、熱気溢れた戦いとなりました。
(左)高校生男子組手決勝戦(貝増選手VSアフィク選手)
(右)高校生・一般形優勝 北村選手
特に盛り上がったのは、個人競技を終えた後に行ったエキシビションマッチでの 日本VSマレーシアの団体戦でした。国際大会にいるかのような熱い接戦が繰り広げ、 結果は、3:3と引き分けとなり、 終了後は両国の選手一同が駆け寄ってお互いを称えあい、 固い抱擁を交わし、大会を幕にしました。
(左)日本チーム
(右)マレーシアチーム
(左)試合のワンシーン(国際ルールに基づき、メンホーなし・マウスピースで試合)
(右)お互いを称えて固く握手を交わす
この大会には、音声が見える工夫が3つあります。
1.審判員の合図をライトで知らせる。 組手の競技中、審判員が「ヤメ!」と合図の声を出すのと同時に、 赤いライトが点滅します。これによってろう者も聴者も ハンディなしに対等に試合に臨むことができます。
審判員の「ヤメ!」と同時に赤ライトが点灯
2.審判員の手話による「勝負始め」。 組手競技の試合開始「勝負始め」を手話で表現します。 審判員が手話を使うことで、聞こえない選手も安心して競技に臨むことができます。
3.形名表示ボードの掲示、ipadによる形名の掲示 形の競技では、大きな声で明確に、形名を伝えなければならないのですが、 この大会では手話や文字で、自分が演武する形名を申告します。 目に見える情報があることで、ろう者も聴者も対等に情報を保障することができます。
4.式典での情報保障 開会式や閉会式では、ろう者の司会が日本手話で進行します。 日本手話を知らない聴者や難聴者の情報保障として、 音声日本語と文字による通訳が配慮されています。(読取り通訳・要約筆記) また、マレーシアの選手のために、マレーシア手話の通訳者も配置しています。 日本手話→国際手話→マレーシア手話といったリレー通訳で行いました。
音声日本語からマレーシア手話に通訳するには、3人の通訳者でリレー通訳を行う必要がありました。
(音声日本語(聴者)→日本手話(聴者通訳)→国際手話(ろう者通訳)→マレーシア手話(ろう者通訳))
5.試合進行状況表示 現在、どのコートが何の競技を行っているのかをスライドに投影しました。 そのため、スライドを見て、すぐに現在の試合進行状況が目視で確認でき、 次のスタンバイに向けて各々がアクションを取れるといった効果が見られました。
ろう者によるろう者のための大会に、聴者も参加したことで、 お互いに歩み寄るきっかけが出来たなら、この上ない喜びです。
JKFanマガジンにも取材して頂き、JKFanNEWSに掲載されました。 JKFanNEWS*取材ルポ(←クリックしてね)
この大会に皆様からの多大なるご支援・応援を頂き、誠にありがとうございました。
JDKF.
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