2月5日(日)雲一つない快晴の中、東京武道館大武道場にて、
「第6回JDKF.空手道競技大会」を開催いたしました。
国内初となるきこえない・きこえにくい選手のための
「音声が見える空手道大会」として、審判員の声による合図の指示をライトの点滅でしらせるなど、
きこえない選手が「聞こえないハンディ」を気にせず、
安心して競技に集中できるよう情報保障の行き届いた環境が作られた大会で、
2018年に開催してから今回で6回目となります。
過去最大参加者数の141名(うち33名がきこえない選手、108名がきこえる選手)の選手が出場し、
形と組手、JDKF.会員限定の形、それぞれ競技に臨み、熱気溢れた戦いとなりました。
今回は観戦者を受け入れることで、ご家族やご友人も応援にご来場いただきました。
この大会の特徴としては音声が見える工夫がされていることにあります。
3面のコートにそれぞれ違ったバージョンで、音声が見える工夫を行いました。
①審判員の合図をライトおよびLEDラインテープで知らせる
組手の競技中、審判員が「ヤメ!」と合図の声を出すのと同時に、
Aコートは赤いライトが、BコートはL E Dライトテープが点滅します。
これによってきこえない選手もきこえる選手もハンディなしに対等に試合に臨むことができます。
②審判員の手話による「勝負始め」
形や組手競技の試合開始「勝負始め」を手話で表現します。
審判員が手話を使うことで、きこえない選手も安心して競技に臨むことができます。
③「あと15秒」を知らせるライトとジェスチャー
組手競技では、1分30秒(中学生以上は2分)の競技時間が設けられ、
残り時間が15秒であると、主審は「あとしばらく」と競技者に知らせます。
その合図がきこえない選手には、青色のライトもしくは両手を振るジェスチャーで伝えるようにしています。そうすることできこえない選手もきこえる選手も対等に情報が伝わり、残り15秒で点を取ろうと攻めることができるようになります。
④形名表示ボードおよびiPadにて形名の掲示
形の競技では、大きな声で明確に、形名を伝えなければならないのですが、
この大会では手話や文字で、自分が演武する形名を申告します。
目に見える情報があることで、ろう者も聴者も対等に情報を保障することができます。
BコートはiPadで表示、AとCコートは予め印刷した形名の用紙をボードにて表示しました。
今回、きこえる選手も手話で形名を申告する風景が多数見られました。
「手話で申告する」ことは、きこえる・きこえないに関係なく、本人の選択肢に委ねています。
選手が手話で申告することは、きこえない選手にとって「声=手話」であり、
まさに「音声が見える空手道大会」の理想が実現された瞬間でもありました。
きこえない選手もきこえる選手も形名を手話で申告する。
また、拍手のかわりに、肩の高さで両手をヒラヒラさせる「ジャズハンド」や、
「ありがとう」「おめでとう」の手話が会場全体に伝わりました。
「ジャズハンド」はろう者の文化のひとつで、
拍手も喝采も聞こえないろう者・難聴者にも感動を同時に共有できるため、
誰にも優しく、そして伝わりやすいサインとして、外国ではきこえる人たちにも浸透し始めています。
この大会を開催するたびに参加者の皆さまが、
お互いのことを理解し、尊重しあい、支え合う共生社会の実現を
ひしひしと感じ、心より嬉しく思います。
2025年夏季デフリンピックの開催地が東京に正式に決定されました。
空手競技の会場は今回開催された会場、東京武道館になります。
きこえない人ときこえる人が共に協働してデフリンピックを開催成功させることで、
さらなる共生社会の理想の形を社会や世界へ示し、
日本・東京におけるデフスポーツの発展普及につながります。
最後に、これまで惜しみないお力添えをいただきました支援者、関係者の皆さま、
スタッフの皆さまに厚く御礼申し上げます。
※大会の様子が取材されました。下記URLにてご確認頂けます。
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